耳鼻咽喉科展望
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臨床
外傷性直達性耳小骨損傷症例の検討
吉田 隆一谷口 雄一郎田中 康広志和 成紀小島 博己森山 寛
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2012 年 55 巻 6 号 p. 425-433

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抄録
今回われわれは1984年より2011年までの間に東京慈恵会医科大学附属病院耳鼻咽喉科において外傷性直達性耳小骨損傷の診断で手術を施行した30例30耳についてその病態, 手術成績について検討した。術中所見ではキヌタ・アブミ関節の離断を18例で認め, アブミ骨病変は21例で認めた。また外リンパ瘻を認めた例は14例であった。手術ではアブミ骨骨折の有無や, アブミ骨底板の状態に応じて耳小骨再建, アブミ骨の位置の整復, 外リンパ瘻閉鎖などの処置を行った。手術成績は良好であり聴力の改善率は96.7%であった。外リンパ瘻やアブミ骨病変を有する症例では, 病態に応じた手術時期・方法と慎重な手術操作を考慮する必要があると考えられた。
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© 2012 耳鼻咽喉科展望会
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