耳鼻咽喉科展望
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臨床
喉頭アミロイドーシス5症例の検討
露無 松里小林 俊樹太田 史一部坂 弘彦加藤 孝邦
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2013 年 56 巻 6 号 p. 372-378

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抄録
 比較的稀な疾患である喉頭アミロイドーシスの5症例を経験した。男性2症例, 女性3症例であり, 20歳代から60歳代までの広い年齢層に認められた。5症例中4症例は限局型アミロイドーシスと診断されたが, 1例のみ, 胸部に病変が存在する可能性が否定しきれなかった。5症例中3症例を現在も経過観察中であるが, 病変の増大は認めていない。
 我々が渉猟しえた範囲では1940年から2012年における本邦での喉頭アミロイドーシス症例の報告は自験例を含め180症例であったが, 喉頭の局在部位としては声門上に存在する例が最も多かった。また, 症状として嗄声を訴え受診する症例が多いことを考慮すると, 小病変を声門上に有しながらも無症状で経過している症例が潜在的に多く存在している可能性が考えられた。本疾患は完全摘出が困難であるため, 病変の増大による気道狭窄に備えて経過観察を行い, 治療を行うとしても減量術に留め侵襲を最小限にするなど, 患者の QOL を損なわないようにする配慮が必要である。
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