耳鼻咽喉科展望
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綜説
遠隔医療による新たな難聴医療の可能性
高野 賢一
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2020 年 63 巻 1 号 p. 10-14

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抄録

 近年, 通信機器や通信技術の進歩はめざましく, 医療分野でも遠隔医療があらためて注目されている。 遠隔医療は, 患者のアクセスビリティの向上, 地域による医療資源差の解消, 勤労世代の労働時間確保などの諸問題を解決できる可能性がある手段のひとつとして考えられ, 2018年度からオンライン診療料が保険適用となった。 広大な面積を有する北海道では, 医療機関へのアクセスビリティが問題となることが多く, 人工内耳装用者にとってもマッピングや言語訓練のために遠方から受診することが, 患者やその家族に負担となっている。 そこでわれわれは, 人工内耳装用者を対象とした遠隔マッピング, 遠隔言語訓練を開始している。 患者は地元の中核病院またはクリニックを受診し, 大学病院とオンラインで結びマップ調整を行っている。 言語訓練では自宅と結び, インターネットを介して訓練を行っている。 この遠隔医療によって患者の高い満足度が得られている。 こうした遠隔医療は, 現時点では法整備や診療報酬などの課題が残されているものの, 耳鼻咽喉科領域も含めて, 患者志向医療として今後ますます発展していく可能性がある。

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