1990 年 33 巻 Supplement5 号 p. 675-682
小児滲出性中耳炎に対して抗アレルギー剤, 塩酸アゼラスチン (アゼプチン ®) を投与し, その臨床効果, 安全性等を検討することを目的とした。
自他覚所見により小児滲出性中耳炎と診断された患児45例に対しアゼプチンを2mg/日, 8週間経口投与し, 自他覚所見の改善度, 安全性, 臨床効果出現の背景等について検討した。
アゼプチン投与8週後の全般改善度は改善以上で44.4%, やや改善以上66.7%, 有用度は有用以上で46.7%, やや有用以上66.7%であり, 副作用は1例も認められなかった。また臨床効果は投与4週間以降はほぼ定常状態に達すると考えられた。さらに合併症例に臨床効果の比較をしたところ鼻アレルギー合併群ではやや改善以上で66.7%, 副鼻腔炎合併群では60.7%, 上記2疾患非合併症群では90%であり, 上気道のアレルギー, 炎症の範囲, 程度により効果が異なることが示唆された。以上によりアゼプチンは小児滲出性中耳炎に対するこれからの保存的治療薬のひとつとして有効かつ安全な薬剤であると考えられた。