耳鼻咽喉科展望
Online ISSN : 1883-6429
Print ISSN : 0386-9687
ISSN-L : 0386-9687
幼小児慢性副鼻腔炎に対する消炎酵素剤エンピナース・PD錠の使用経験
大迫 茂人妙中 啓子
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 33 巻 Supplement5 号 p. 693-701

詳細
抄録
幼小児慢性副鼻腔炎の患児36例にエンピナース・PD錠 (プロナーゼ18,000チロジン単位含有), 1日2錠を2回に分服経口投与し, 有効性, 安全性について検討した。
自覚症状の判定では中等度改善以上66.7%で, 軽度改善以上は86.1%であった。 症状別にみると特に後鼻漏, 頭痛・頭重に対し早期から高い効果が得られた。他覚所見の判定では中等度改善以上66.7%, 軽度改善以上88.9%で, 鼻粘膜の腫脹, 後鼻漏および膿汁の量に対し高い効果が得られた。X線所見の判定では著明改善は27.8%, 中等度改善以上は75.0%を示した。特に6歳以下の若年齢で優れた改善効果を示した。総合判定では有効以上の有効率は66.7%, やや有効以上88.9%の有効率であった。特に漢方製剤併用例, 重症例で高い有効率を示した。以上, エンピナース・PD錠は幼小児慢性副鼻腔炎に対し, 有効かつ安全に使用しうる有用性の高い薬剤であると考えられた。
著者関連情報
© 耳鼻咽喉科展望会
前の記事 次の記事
feedback
Top