耳鼻咽喉科展望
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人工内耳の幼児への適用とその訓練法
Verbo-Tonal Methodに関連して
舩坂 宗太郎
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1998 年 41 巻 1 号 p. 8-14

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抄録

一般に100デシベルを越えた難聴には, 補聴器では言語音の聞き分けができず, 会話を覚えることは不可能である。言語を操れるのは, 乳幼児時代に聴覚を通して学習して, はじめて可能なのである。人工内耳が先天聾乳幼児に適用されるようになって, まだ数年しか経ていないが, その効果は目覚ましい。先天聾児の真の幸福を考えれば, 「2歳では可哀相」, 「残存聴力があるので補聴器で頑張る」などは, 事実からも学問上からも間違っている。このことは親自身も体験から感じ取っており, 疑問を抱いている。したがって, 先天聾には1~3歳代に人工内耳を施行し, Verbo-Tonal Methodに基づいた言語訓練を開始するのがよい。これは臨床的にも確かめられており, 言葉を覚える脳の働きが0~3歳でもっとも活発という, 最新の大脳生理学の成果にも合致している。

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