耳鼻咽喉科展望
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頭頸部癌の最近の話題と研究
佃 守
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1999 年 42 巻 6 号 p. 564-575

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抄録

頭頸部癌の90%は, 病理組織学的に扁平上皮癌で, 頭頸部扁平上皮癌は漸増傾向にある。進行癌が多く, そのため予後が悪い。予後を向上させるには集学的治療が望まれる。本稿では頭頸部扁平上皮癌に焦点を当て, 最近の話題, 研究について概説した。
話題としては合併症, 若年者癌, 重複癌などについて述べた。合併症や重複癌は予後にも多大な影響を与えるため, 十分な配慮が必要と考える。
研究面では細胞周期のチェックポイントであるG1/S期に関わる遺伝子のRb, p16, p21, p27, p53, Cyclin Dなどについて解説するとともに, apoptosisの機序の概略について述べた。また腫瘍の増殖, 転移に不可欠な血管新生因子, またmatrix metalloproteinase (MMP) を解説した。血管新生阻害剤, 抗MMP剤は近年tumor dormancy therapyとして注目されている薬剤である。
その他, 今後臨床に応用されるであろう抗epidermal growth factor receptor抗体, cyclooxygenase-2 inhibitor, all-trans retinoic acidなどについても解説した。

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