抄録
平成15年7月より特定機能病院において入院医療の包括評価が開始された。臨床医の見地から本制度の妥当性を検証することは重要であると考え, 口腔・中咽頭癌診療に与える影響を検討した。平成15年7月から10月までに慶應義塾大学病院耳鼻咽喉科にて入院治療を行った口腔・中咽頭癌10例を対象とし, 包括評価による診療報酬の実請求点数と従来の出来高払いで算出した点数を比較した。包括評価の対象となった9例においては, 実請求点数の総計は出来高払いでの算出点数にくらべ58%上回った。全体としては包括評価による診療報酬の実請求点数と出来高払いで算出した点数に大きな差を認めなかった。症例別に検討すると術後肺炎を包括評価に含めるべきか検討を要すると思われた。また中咽頭癌の早期例に対する放射線療法と進行例に対する化学放射線療法が同一の分類に区分されてしまうが, 異なった診断群分類にすべきであると考えられた。