耳鼻咽喉科展望
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外歯瘻の3 例
医科的に診た経過と病期的考察
榎本 仁司
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2007 年 50 巻 1 号 p. 19-23

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抄録

外歯瘻は歯根部の慢性化膿性炎症の排泄路が顔面や頸部の皮膚に瘻孔を形成する疾患である。歯の症状がなく, しかも歯から離れた部位に病変が生じるため, 歯科領域の疾患であるにもかかわらず, 患者の60%以上が最初に皮膚科, 外科など医科各科を訪れる。そして本疾患が念頭にないための誤診・誤治療の結果として, 繰り返しの切除, 生検や抗生剤の長期使用など患者に不必要な負担を強いている症例が依然として報告されている。
本症は一般の皮膚疾患と異なり, 永久治癒を得るためには切除や抗生物質は無効であり, 抜歯を含む原因歯の適切な処理が必須である。
今回, 病期の異なる外歯瘻の3例について, 瘻管が顎骨を穿孔した後に生じる軟部組織炎から蜂窩織炎, 膿瘍そして皮膚瘻孔と進展する状態を臨床的に観察した。そして, これら経過途中の病変を他の皮膚疾患と区別するために外歯瘻性軟部組織炎, 外歯瘻性蜂窩織炎などの用語を使用することを提案した。

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