2004 年 73 巻 12 号 p. 1519-1524
安価で高性能な次世代型太陽電池の候補として注目されている色素増感太陽電池の高性能化について,その要素技術の観点から紹介し,将来の課題について述べた.まず,太陽電池の性能を支配する,短絡電流,開放電圧,フィルファクターの向上のためのアプローチの方法を紹介した.次に具体的例としてチタニア光電極の最適化として,チタニアナノ粒子と光散乱大粒子を組み合わせた層で構成される光電極で光吸収効率を上げる試み,いわゆる光閉じ込め効果について紹介した,この方法により,色素増感太陽電池の変換効率10〜11%を達成することができた.次に,新しい色素の設計指針を紹介し,変換効率8%以上の高性能なRu色素や有機色素の開発例について述べた.