応用物理
Online ISSN : 2188-2290
Print ISSN : 0369-8009
最新号
『応用物理』 第90巻 第9号
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Science As Art
今月号の概要
総合報告
  • 加納 健司
    2021 年 90 巻 9 号 p. 538-547
    発行日: 2021/09/05
    公開日: 2021/09/05
    ジャーナル フリー

    バイオ電池やバイオセンサは,酸化還元酵素を電極触媒とした電気化学デバイスである.酸化還元酵素反応と電極反応の共役系を酵素機能電極反応と呼び,この共役により,非特異的な電極反応に,酵素反応の高い特異性と活性を付与できる.高性能な酵素機能電極デバイスを実現するためには,酸化還元酵素の特性と,電極反応の基礎理論をよく理解する必要がある.本稿では,この共役系の概念を,酵素の一方の基質特異性の欠如という特性と,ヒドリドイオン移動と電子移動の違いに着目して概説する.そのうえで,メディエータ電子移動(MET)型と直接電子移動(DET)型の定常触媒電流に焦点を当て,いくつかの重要な理論的側面と,特性評価法について説明する.MET型反応については,特にメディエータの選択法に焦点を当て,一方DET型反応では,酸化還元酵素の配向吸着と,多孔質電極のメソ孔とミクロ孔構造が電子移動速度定数に及ぼす因子という観点に焦点を当てて説明する.

解説
  • 弓削 亮太
    2021 年 90 巻 9 号 p. 548-554
    発行日: 2021/09/05
    公開日: 2021/09/05
    ジャーナル フリー

    カーボンナノチューブ(CNT),グラフェンなどのナノカーボンは,その特徴的な構造と魅力的な物性からナノテクノロジーを牽引(けんいん)する革新材料として期待されている.近年,新しいナノカーボン材料として,繊維状カーボンナノホーン集合体(カーボンナノブラシ:CNB)が発見された.この材料は,単層のカーボンナノホーンが放射状に集まり,かつ,繊維状につながっている特殊な構造をもち,1次元材料特有の高導電性だけでなく,高分散性,高比表面積をも兼ね備えた実用性の高い新素材である.そのため,キャパシタやセンサの高性能化に向けた電極材料や軟らかい素材に混ぜて導電性をもたせることでウェアラブルやIoT関連デバイスとしての用途展開が期待できる.今回,CNBの発見秘話,構造,特徴,および応用可能性について紹介する.

研究紹介
  • 前田 太郎
    2021 年 90 巻 9 号 p. 555-559
    発行日: 2021/09/05
    公開日: 2021/09/05
    ジャーナル フリー

    前庭電気刺激は,経皮電極を介した弱電流によって平衡感覚に錯覚をもたらす.この刺激は意識上に加速度の知覚をもたらすとともに意識下で各種の身体応答を生じさせる.この効果によって,バーチャルリアリティやゲーム体験における自己運動感のリアリティの向上だけでなく,意識下での歩行や姿勢の誘導インタフェースとしての利用や,感覚誘発性の酔いの研究にも活用することが可能である.本稿では,これらの事例を紹介するとともに,意識下の身体応答と意識上の知覚認識の対応関係が,随意運動としての運動主体感の解釈を左右するという現象とその応用について触れていくことにする.

  • 千葉 貴之
    2021 年 90 巻 9 号 p. 560-563
    発行日: 2021/09/05
    公開日: 2021/09/05
    ジャーナル 認証あり

    ペロブスカイトナノ結晶は,可視光領域で非常にシャープな発光スペクトルと高い発光量子収率を示すことから,次世代の発光材料として注目を集めている.ナノ結晶の表面に長鎖アルキルを配位子として導入することで,無極性有機溶媒に分散することができるため,塗布印刷プロセスによる薄膜形成や発光デバイス(LED)の作製が可能になる.本稿では,ペロブスカイトナノ結晶の配位子や化学組成を表面修飾技術により制御することで,光学物性やデバイス特性に与える影響について紹介する.

  • 木村 謙介, 三輪 邦之, 今田 裕, 金 有洙
    2021 年 90 巻 9 号 p. 564-568
    発行日: 2021/09/05
    公開日: 2021/09/05
    ジャーナル フリー

    走査型トンネル顕微鏡(STM)をベースとした発光測定手法は,サブナノメートルの空間分解能で局所領域の光学特性を調べることが可能なユニークな分光手法である.本研究では,基板表面に吸着した単一分子系にSTM発光分光法を適用し,電流励起による励起子形成過程を調べ,三重項励起子が低電圧で選択的に形成される新規な励起子形成機構を発見した.これは分子軌道を占める電子間の相互作用に起因する現象であり,新たな原理で駆動する有機発光ダイオードの開発につながると期待される.

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