応用物理
Online ISSN : 2188-2290
Print ISSN : 0369-8009
最新号
『応用物理』 第89巻 第9号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
Science As Art
今月号の概要
総合報告
  • 須賀 唯知
    2020 年 89 巻 9 号 p. 498-508
    発行日: 2020/09/10
    公開日: 2020/09/10
    ジャーナル 認証あり

    表面活性化による常温接合の現状と接合メカニズムを概説する.イオン衝撃による標準表面活性化接合が金属やシリコン(Si)の常温接合に有効なのに対し,ナノ密着層を導入した拡張表面活性化接合によって,ガラスや化合物半導体,高分子フィルムなどの常温接合も可能となる.また大気圧・雰囲気中での表面活性化接合(SAB)が検討されている.最近の事例として,最高の接合界面熱伝導率を実現したGaNとダイヤモンドとの常温接合を示した.さらに本手法の将来への展望として,極低温接合を提案した.

解説
  • 武市 泰男
    2020 年 89 巻 9 号 p. 509-514
    発行日: 2020/09/10
    公開日: 2020/09/10
    ジャーナル 認証あり

    軟X線の走査型透過X線顕微鏡(STXM)法は,放射光X線を数十nmに集光し,試料を走査して透過像を得る手法である.STXMは本質的にX線吸収分光法のナノスケール顕微版である「顕微分光法」であり,元素敏感,官能基や価数といった化学状態を識別できる,偏光を利用して分子配向や磁性に関する情報が得られる,などの特徴を有する.我々はこれまで,放射光実験施設フォトンファクトリー(PF)においてSTXMの開発を行い,利用研究に供してきた.本稿では,まずSTXMの原理や特徴について解説する.さらに,STXMの官能基敏感性を利用して有機薄膜太陽電池のドナー・アクセプタ分子の混合状態を定量的に求めた例や,X線磁気円2色性により希土類磁石の磁区構造を可視化した例について述べ,STXMでどのような情報が得られるかを紹介する.

研究紹介
  • 山本 和生, 野村 優貴
    2020 年 89 巻 9 号 p. 515-518
    発行日: 2020/09/10
    公開日: 2020/09/10
    ジャーナル 認証あり

    全固体電池は高い安全性など多くの利点がある一方,電極と固体電解質界面におけるイオンの移動抵抗が極めて高いといった課題をもつ.そのため,高性能な全固体電池を効率的に開発するには,固体界面におけるイオニクスを正しく理解する必要がある.本稿では,電子線ホログラフィと電子エネルギー損失分光法(EELS)を用いて,金属電極/固体電解質界面に形成されるイオンの空間電荷層を直接観察した結果,および,走査透過型電子顕微鏡法(STEM)とEELSを用いて,充放電中におけるLi分布をオペランドで可視化した結果を紹介する.

  • 松下 智裕
    2020 年 89 巻 9 号 p. 519-523
    発行日: 2020/09/10
    公開日: 2020/09/10
    ジャーナル 認証あり

    母結晶にわずかに不純物を添加して物性を制御するドーピング技術は現代科学において普遍的に利用されている.ドーパントは母結晶の中でさまざまな原子配列を形成するが,目的の原子配列を形成できなければ目的の性能は得られない.今まではドーパントの原子配列を解く手法が存在しないため,さまざまにドーピング条件を変えながら,手探りで最適条件の探索が行われてきた.光電子ホログラフィはドーパントから放出された光電子を観測することで,ドーパントの立体原子配列の直接観察を可能にする.この測定技術をヒ素ドープのシリコン(Si)とリン(P)ドープのダイヤモンドに対して適用した結果を報告する.両サンプルともに,ドーパントは複数の価数状態が存在し,それぞれの価数で異なる原子配列になっていることがわかった.ここから,原子配列と電荷キャリヤ数との関連や,結晶成長過程でのドーパントの挙動などの情報が得られている.

  • 谷川 智之
    2020 年 89 巻 9 号 p. 524-528
    発行日: 2020/09/10
    公開日: 2020/09/10
    ジャーナル 認証あり

    多光子励起フォトルミネセンス(PL)を用いたGaN結晶の3次元イメージング技術として,2つの結果を紹介する.まず,多光子励起PLで観察される暗線の光学的性質と3次元形状から転位種の分類を試みた.観察結果と転位種の対応を調べるためにエッチピット法を併用して評価したところ,らせん転位は非輻射(ふくしゃ)再結合の性質がほかより強いことから暗点や暗線のコントラストが濃く現れ,混合転位はc軸から一定の傾斜角を有して伝搬することがわかった.次に,成長面方位による残留不純物取り込み効率の差を利用した3次元成長過程のイメージングを試みた.非c面成長領域はc面成長領域と比べ,酸素ドナーを取り込みやすくバンド端発光強度が増大することがわかった.イエロールミネセンス(YL)に対する相対強度から3次元像を構築することで非c面成長領域とc面成長領域を可視化でき,複雑な3次元成長の過程と貫通転位の伝搬挙動を同位置観察することができた.

  • 吹留 博一
    2020 年 89 巻 9 号 p. 529-533
    発行日: 2020/09/10
    公開日: 2020/09/10
    ジャーナル 認証あり

    未知なる感染症および地球環境に関わる諸問題解決と活発な経済活動の両立が,喫緊の課題となっている.その実現には,低環境負荷物質を用いた超高速通信デバイスが不可欠である.その有望候補が,グラフェンをはじめとする2次元原子薄膜(2DM)デバイスである.しかし,表面界面に対する2DM物性の高い敏感性に起因して,2DMデバイス機能の実測値は,物性値から予測される理論値を大きく下回る.そこで,筆者らは,グラフェン・トランジスタをモデル試料として,「動作しているデバイスの表面界面物性を元素選択的にナノスケールで診る」オペランド・ナノX線分光(o-nXS)を開拓し,さらには,ほかの2DMデバイスや界面2次元電子系デバイスの産官学連携研究を展開した.現在,筆者は,o-nXSをナノ表面界面物性を定量可視化してデバイス・回路の機能へ写像し,機能を極限まで引き出す設計に資するものとすべく取り組んでいる.

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