応用物理
Online ISSN : 2188-2290
Print ISSN : 0369-8009
最新号
『応用物理』 第95巻 第1号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
今月のトピックス
解説
  • 白藤 立
    2026 年95 巻1 号 p. 9-15
    発行日: 2026/01/01
    公開日: 2026/01/01
    ジャーナル 認証あり
    電子付録

    現在さまざまな用途で利用されている大気圧低温プラズマジェットは,プラズマ弾丸と呼ばれる局所放電の高速伝播(でんぱ)の繰り返しによってジェットのように見えており,物質が下流に流れるだけのジェットとは異なる.そのため,プラズマ弾丸特有のユニークな現象が起こる.本稿では,プラズマ弾丸の基本的な性質を説明した後,プラズマ弾丸が誘電体板をトンネリングしたかのように見える現象と平板誘電体表面からロケットのように発射される表面発射型プラズマ弾丸を紹介し,これらを応用した連続多孔誘電体内の親水化や,まだ実現されていない大容量の大気圧低温プラズマに向けた取り組みについて述べる.

研究紹介
  • 藪野 正裕
    2026 年95 巻1 号 p. 16-20
    発行日: 2026/01/01
    公開日: 2026/01/01
    ジャーナル 認証あり

    超伝導ナノストリップ光子検出器は,優れた光子検出性能により,量子技術を含む多様な先端光技術に応用されている.しかし,線幅約100nmの超伝導ナノストリップの作製には高度なナノ加工技術が必要であり,高性能素子の量産は困難であった.我々は,超伝導ストリップ内のバイアス電流分布に着眼した新しい超伝導ストリップ構造を導入することで,これまで困難と考えられていたナノストリップの200倍以上の線幅を有する超伝導ワイドストリップ光子検出器の高性能動作を実現した.我々の検出器は,高性能かつ量産可能な光子検出器として,量子技術の大規模化を含め広範な科学技術分野の発展に貢献すると期待される.

  • 行方 直人, 高田 則雄, 井上 修一郎
    2026 年95 巻1 号 p. 21-25
    発行日: 2026/01/01
    公開日: 2026/01/01
    ジャーナル フリー
    電子付録

    本研究では,量子パルスゲート法に基づく周波数上方変換単一光子検出器を開発し,波長1550nm帯において時間モード選択かつフェムト秒時間分解が可能な光パルス飛行時間計測(ToF)を実現した.このToFをマウス脳の光断層撮影に適用したところ,明瞭な断層画像を得た.1.5mWのプローブ光平均強度で信号検出感度は110dBを超え,軸上分解能は57µm(屈折率:1.37)であった.本手法は,生物・医学,産業分野で不可欠なツールとなっている非侵襲・非接触の3次元微細構造可視化の新たなアプローチとなりえる.

  • 菅原 広剛, 岡崎 凌大
    2026 年95 巻1 号 p. 26-29
    発行日: 2026/01/01
    公開日: 2026/01/01
    ジャーナル フリー

    材料プロセス用プラズマに磁界を印加することにより,プラズマ制御においていくつかの機能性が期待される.プラズマの構造を形成し応答を支配する電子の運動は電界と磁界が共に作用する環境下では複雑になるため,電子に対する磁界の作用についての理論と数値シミュレーションに基づく系統的な理解は磁界を利用するプラズマ装置の設計と制御のための基礎知見として重要である.本稿では電磁界下の要素的な電子運動を概観するとともに,特徴的な形状の磁界の下で電子が示す興味深い挙動を粒子シミュレーションにより解析している研究を紹介する.

  • 藤井 克司, 森下 圭, 村上 武晴, 和田 智之
    2026 年95 巻1 号 p. 30-34
    発行日: 2026/01/01
    公開日: 2026/01/01
    ジャーナル 認証あり

    大気中のCO2を有用な物質に変換する試みは1970年代から行われており,早期に金属カソードをCuとした場合種々の還元生成物が得られることが見いだされている.さらに,ゼロギャップ型リアクタを用いると比較的低い2極間電圧で高い電流密度が得られるため,このリアクタとCu系カソードを組み合わせた形でCO2還元の実用化に向けた研究が多くなされている.ここではこのCO2の電気化学的還元の歴史を紹介し,ゼロギャップ型リアクタでの長時間安定運転の障害であるカソード電極へのフラッディングと塩析出という問題を取り上げ,その原因となる現象を解明した.

  • 石井 あゆみ
    2026 年95 巻1 号 p. 35-39
    発行日: 2026/01/01
    公開日: 2026/01/01
    ジャーナル 認証あり

    円偏光は,物体の複屈折や応力分布など,人間の目では識別できない多様な情報を含んでいる.本研究では,円偏光の高感度検出を目指し,有機キラル分子と無機半導体をハイブリッド化した一次元らせん構造を有する結晶薄膜および光検出素子の開発を進めている.例えば,ハロゲン化鉛ペロブスカイトは,有機キラル分子との相互作用によって系全体に一次元らせん構造が誘起され,最大5000mdegという極めて強い円偏光二色性を示す.さらに,この一次元らせん結晶薄膜を受光層として用いることで,円偏光の回転方向を選択的に検出する光検出素子の作製に成功した.これは,らせん構造を利用して円偏光を直接検出した世界初の例であり,円偏光検出素子として最高感度を達成した.

基礎講座
  • ―パワー半導体―
    岩室 憲幸
    2026 年95 巻1 号 p. 40-45
    発行日: 2026/01/01
    公開日: 2026/01/01
    ジャーナル 認証あり

    パワー半導体産業は,グローバル市場において我が国が依然として高い競争力を有している分野である.このパワー半導体において圧倒的なシェアを占めているのがシリコン半導体である.しかし,最近徐々にではあるが炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)半導体が,製品としての存在感を増してきている.本稿では電気エネルギーの一層の有効利用実現に欠かすことのできない次世代パワー半導体において,特に今後その需要の拡大が期待されるSiCならびにGaNパワー半導体について,その最新技術について分かりやすく解説する.

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