トポロジカル絶縁体は,バルクにはエネルギーギャップをもつ絶縁体だが表面が必ず金属になるという,新しい種類の固体物質である.その表面には特殊なスピン偏極をもった質量ゼロのディラック電子が存在し,無散逸のスピン流や反局在効果などの特徴を示す.またその表面に超伝導を誘起すると,トポロジカル量子計算の量子ビットとなるマヨラナ粒子が現れると予想されている.これらの特徴は全く新しい原理に基づく情報処理デバイスにつながる可能性を秘めており,次世代材料としての期待は大きい.これまで大きな課題だったバルク絶縁性の高い試料の開発については解決の展望がみえてきており,今後,デバイス研究の急速な進展が期待される.