応用物理
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Print ISSN : 0369-8009
原子力に関する物理計測の歩み
(2) Detectorの立場から
三輪 博秀
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1962 年 31 巻 11 号 p. 863-867

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抄録

放射線検出器(detector)が我国で時代の脚光を浴びだしてからすでに10年をこえている.当初一部の物理実験室で細々と作られていたGM管を思いだすと,まさに一昔の感が深い.今や古典的な電離箱,比例計数管,ガイガー管は工業的な洗練化(refinement)をうけ,より安定な,信頼度高い,頑丈な工業製品になりつつある.またより微弱な放射線の検出からより大量な放射線の検出へとその領域の拡張にいそがしい.
シンチレーション法は青年期に達したといえよう.エネルギー測定や高速計数等の面で偉大な成果を納めつつも,若々しい身体にはどこか不安定性をひそめており,テンポの早い研究開発によりはげしい進歩を示しつつある.
以上のものに対し,未だ幼年期にあるにかかわらず,次の世代を担うものとして注目をあびているものに半導体検出器がある.すぐれたエネルギー分解能は,幾多の解決すべき問題点を有するにもかかわらず極めて魅力的である.
電子回路への結合方法として, charge sensitiveな方式と, current sensitiveな方式とが新たに注目されている.
化学的な検出器,熱的な検出器,偏光を利用するもの,電導度変化を利用するもの等極々のものがあるが,ここでは触れないこととする.

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© 社団法人 応用物理学会
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