1988 年 57 巻 9 号 p. 1301-1313
電子サイクロトロン共鳴 (ECR) を利用したマイクロ波プラズマは,低ガス圧での放電,数eV~数十eVの抵イオンエネルギー領域での制御,高イオン化率などの特徴を有する.本稿ではマイクロ波プラズマと,固体を出発原料とした膜形成が可能なスパッタとを組み合わせた,スパッタ型ECRマイクロ波プラズマの特徴と,薄膜形成への応用についてまとめた.プラズマから引き出されるイオンのエネルギーは,磁場勾配によって制御でき,特にミラー磁場印加時に,その低分散化が可能である.スパッタ粒子のイオン化率は数%穆度で,その割合は,墓板がターゲットから離れるにつれて上昇する.このスパッタ型ECRマイクロ波プリズマは,特に反応形成において,低温基板上に薄膜を形成する有力な手段となることを示唆した.