応用物理
Online ISSN : 2188-2290
Print ISSN : 0369-8009
タリウム系超伝導体の臨界温度
伊原 英雄
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 58 巻 5 号 p. 744-750

詳細
抄録

Tl系Cu酸化物超伝導体は,現在のところ,確認された臨界温度処としては,最高の値125Kを示している.この物質系ではTl 1層系と2層系の2系統の物質群が見いだされており, CuO層は1層から4層以上まで変えることができる,当初TcはCuO層数の増加に伴って向上することが,経験的にも理論的にも予測されたが,その後の実験結果はTcのCuO層数に対する変化が凸関数になることを示している. Tcnに対して近似釣に, Tl 1層系では, Tc=83nexp(-n4), Tl 2層系ではTc=113nexp(-n/3) と表せる.また,格子定数cnに対して, Tl 1層系でc=0.63+0.32n(nm), Tl 2層系でc=2(0.82+0.32n)(nm) の式に乗って直線的に変化する.一方,格子窓数αはnに対して凹関数となり, Tcに対して最適値をもつ.

著者関連情報
© 社団法人 応用物理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top