応用物理
Online ISSN : 2188-2290
Print ISSN : 0369-8009
地球環境とエネルギーシステム設計
茅 陽一
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1990 年 59 巻 4 号 p. 410-417

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抄録

近年のエネルギーシステムの制約要因としては,需給の不確定性増大,規模の経済の有効性の低下,地球環境問題の顕在化がその制約としてあげられるが,やはり地球環境問題がもっとも大きいインパクトを持つものと考えられる.本文では,地球環境問題の中でももっとも深刻と考えられる温暖化へのエネルギーシステム面からの対応のあり方について論じている.前半では,従来システムの制約の中での対応の方策とその限界について,特に経済成長との関連を考慮にとって分析し,主要対策と考えられる省エネルギーと燃料転換についての検討から, CO2の削減が容易でないことを数値的に示している.後半では,長期的対応の方策として,自然エネルギーの利用とシステム構造自体の柔構造への転換をあげ,その特徴と問題点,今後の発展のための必要方策について述べている.

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© 社団法人 応用物理学会
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