1991 年 60 巻 11 号 p. 1087-1098
MeV領域の高エネルギーイオン注入技術の,シリコンデバイスへの応用について述べる.高エネルギーイオン注入により,シリコン基板の数μmの深さに直接不純物をドーピングすることが可能になり,ソフトエラーやラッチアップなどの種々のデバイス特性の向上を意図して,基板あるいはウェルの不純物分布を最適化する“基板エンジニアリング”という手法がもたらされた.また,高エネルギーイオン注入により発生する結晶欠陥が,微小欠陥や重金属をゲッタリングすることが見いだされた.ドーパント自身によるゲッタリング (self-gettlering) や,酸素,炭素などのイオン注入によるゲッタリング (proximity gettering) を積極的に利用して,高濃度埋め込み不純物層の形成が可能になりつつある.