1992 年 61 巻 10 号 p. 1031-1034
神経回路の機能を細胞レベルで解明するため,培養神経細胞を使って単純な神経圏路を形成するとともに,その機能を無侵襲で多点同時に測定することを検討した.基板上に作製した微細な溝による神経突起の成長方向制御,およびマスクを用いた基板上の凹部(ウエル)への細胞の選択的付着により,単純な神経回路を実現した.また,微少電極アレイを形成した基板上に細胞を培養することにより,無侵襲で多数の電極から同時に電気信号を取り出すとともに,これらの電極から電気的な刺激を回路に加えることが可能であることを確認した.このような方法は,今後の細胞レベルでの神経回路の機能の解明を進める上で大きな役割を果たすものと考えられる.