1992 年 61 巻 3 号 p. 262-265
酸化物超伝導体における酸素濃度は,超伝導特性および臨界温度 (T c) を決定する重要な因子である.筆者らは,酸素イオン伝導性をもつ固体電解質基板 (YSZ) に超伝導薄膜を積層化したセルを作り,超伝導薄膜の酸素濃度を電気化学的に制御する新しい方法を開発した.この方法を用いて, Y-Ba-Cu-0 (YBGO) 超伝導薄膜および2212相のBi-Sr-Ca-Cu-O (BSGCO) 超伝導薄膜に,大気中500°Cで酸素を注入・放出することにより,セルに通電した電気量(酸素の数)に比例して,これらの超伝導薄膜の酸素濃度が増減し. Tcの値を可逆的に制御できることが明らかになった.