応用物理
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酸化物高温超伝導材料の放射線照射効果
白石 健介
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1992 年 61 巻 7 号 p. 722-725

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抄録

電子線あるいはガンマ線照射による,電気抵抗率および臨界電流密度の変化に関する実験結果をもとに, YBa2Cu3O7および (Bi, Pb)2Sr2Ca2Cu3O10の放射線照射効果について考察した.酸化物高温超伝導材料の粒子線照射による,超伝導転移温度および臨界電流密度の変化は,格子原子のはじき出しによるものとして理解できる.ガンマ線の照射や荷電粒子と格子原子との電子的な相互作用によって,結晶粒界などの界面に生成するアモルファス層は,電気抵抗法で測定する臨界電流密度を低下させる.さらに, YBa2Cu3O7に比べて, (Bi, Pb)2Sr2Ca2Cu3O10のほうが,放射線照射に対する感受性が高いのは,アモルファス層が生成,成長しやすいことによると考えられる.

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© 社団法人 応用物理学会
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