1994 年 63 巻 9 号 p. 924-927
微量の原子・分子を検出する高感度分光法の一つに,対象試料に磁場を印加し,誘起された光学的異方性スペクトルを測定する磁気光学効果分光法がある.原子あるいは単純な分子の試料に外部磁場を印加すると,試料の共鳴線近傍の入射光に対して,ゼーマン効果に起因する大きな光学的異方性が誘起される.本稿では,入射光路と外部磁場の方向が互いに垂直に配置された場合の光学的異方性.(フォークト効果)を,入射光の偏光変化として検出する高感度分光法について,その原理および実際の測定例を紹介する.