1998 年 67 巻 1 号 p. 33-38
従来の画像処理は,ビデオ信号を扱うことを前提としており,処理速度もビデオレートがその隈界であった.この限界を打ち破るため,走査を用いない完全並列のデータ伝送・処理構造を導入したアーキテクチャーが提案されている.このアーキテクチャーは,近年の半導体集積化技術や光デバイス技術の進歩により,実際に実現可能な領域に近づきつつあり,画像処理の世界を根底から変える可能性を秘めている.本文では,それらの試みについて,汎用のプロセッシングェレメントアレイを導入したビジョンチップ,ならびに,光インターコネクションによる階層型視覚情報処理システムへの展開について,実例を示しながら,アーキテクチャー面ならびにデバイス仕様の面から考察を行う.