応用物理
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氷の上の表面化学
小笠原 寛人川合 真紀
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2002 年 71 巻 7 号 p. 846-852

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抄録

水分子は水素結合を介して凝縮し,水蒸気から水や氷となる.水素結合は弱い化学結合なのだが・水分子の電子状態は局所的な水素結含サイトやその数により大きく影響される.それゆえに,固体から液体への融解に伴い水素結合に欠損が生じると,新たな電子状態が発現する.固体や液体の表面にはバルクにはない局所構造があるので,ここにも特有の電子状態がある.弱い化学結合で作られる暦所構造と電子状態が密接に結びつくことが,水や氷表面のソフトな物性のもととなる.本稿では,局所的な水素結合の欠損が生み出す特異な電子状態,さらには欠損が露出した表面の反応について紹介する.

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© 社団法人 応用物理学会
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