応用物理
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Print ISSN : 0369-8009
サイク・アーク熔接に就て
長谷川 光雄
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1940 年 9 巻 7 号 p. 331-335

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抄録

サイク・アーク熔接(Cyc-arc Welding)とは電弧式植付熔接とも稱す可き電弧熔接の一方式であつて,金屬棒,即ちスタツド類を母材金屬に電弧熱を利用して植付けを行ふものである.即ち植付けらる可き棒,及び母材を夫々電源の一極に結び豫め兩者を接觸して置いて電路を閉ぢ,直ちに棒を引揚げて,其の間に電弧を發生せしめる.之の電弧熱に依り棒端及び母材一部が熔融し始めた折を見計らひ再び棒を降下して母材熔融部に押付けた後電路を開き熔接を完了する.之の間僅に1/2秒程度の短時間であつて,以上の諸動作は凡て自動的に時限繼電器により規則正しく遂行される.
從來は之の方法では唯眞鍮棒の植付けのみ可能であつて,鐵は熔融部に甚だしい氣泡が殘留して充分の強度を得る事は極めて困難視されて居たのであるが,其の後熔接方法に種々の考案が加へられ現在では可なりの太い棒迄完全に氣泡のない,極めて信頼度の高いものが得られるに至つた。其の他熔接電源も漸次改良が加へられ重量大にして取扱不便なる直流機は大部分交流化せられ,現在では熔壊變壓器が何等の危惧なく満足に使用されて居る状態である.

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