バイオメディカル・ファジィ・システム学会大会講演論文集
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原子核工学のガン治療への応用(一般講演)
中野 正博松浦 弘幸野田 信雄
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p. 105-108

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抄録

体内深部の癌の放射線治療に負パイ(π^-)中間子を使用する利点は,体表面から患部までの正常組織には低LET放射線で且つ付与する線量は少なく,π^-中間子のrest energy領域での患部にはBragg-peak効果とスター形成による高LET放射線で且つ付与する線量は大きく従って治療効果比が大きいと理論的に高く評価される事である.我国内では物理学的・医学的に治療応用の為の具体的な実験研究は未だ行われていない.我々は特にπ中間子が正常組織を飛行中のプラトー領域での高LET粒子の発生に注目しその影響を調べた.この論文は第1報として,国立高エネルギー物理学研究所の12GeV陽子シンクロトロン加速器を用いて発生させた運動量150, 173Mev/cのπ中間子を人体模疑物質ルサイトに照射し,正・負パイ(π^±)中間子の飛程と捕捉・吸収の後の残存曲線の実験結果を示す.飛程は理論値とよく一致した.残存曲線にはπ+とπ^-中間子では差異が認められた.またピーク・プラトー比は約10対1と予想値よりはるかによい結果を得た.

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© 2004 バイオメディカル・ファジィ・システム学会
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