堀と松本によって、自然の状態がエルゴード的マルコフ過程に従っているとき、その現れのファジィ事象もマルコフ過程に従っていることが示されている。まず、ノーデータ問題における主観分布と効用関数が、マルコフ的に推移するファジィ事象において、そのファジィ事象のメンバシップ関数による写像・変換によって、マックスプロダクト法を用いてそれらのマルコフ決定過程を定式化する。ここで、この一連の流れは、ワルドの決定関数の確率過程への自然な拡張になっていることに注意しよう。次に、主観分布と効用関数をファジィ関数とみなし、主観は自然の状態を主観分布で写像・変換したもの、効用は、自然の状態を効用関数で写像・変換したものと仮定すれば、主観と効用もマルコフ過程に従うことを示す。最後に、ファジィ事象における主観と効用は、推移行列の各要素がマルコフ過程に従うマルコフ過程で推移し、マックスプロダクト法により、そのマルコフ決定過程を提案する。