抄録
フェンシング競技の練習内容として,実践的な練習に多くの時間をかけているという特徴がある.しかし,練習時の怪我の発生率が大学生,社会人ともに60%を超えており,長時間の実践的な練習が原因でオーバートレーニングによる怪我が目立っている.このことから練習量や内容の見直しが必要であると考えられる(日本フェンシング協会医学委員会コンディショニング部会,2020).一般人おいても行動体力は必要な要素となり,スポーツ選手においてはパフォーマンスを構成する重要な要素となることから,フェンシング選手の行動体力に着目をした.本研究では,競技力向上に向けた個々に合わせた指導法の検討を行うため,フェンシング選手の行動体力の特徴の把握を目的とした.大学生フェンシング部7人を対象に行い,立ち幅跳び,立ち三段跳び,ヘキサゴンアジリティテスト,プロアジリティテスト,マルシェロンぺプロアジリティテスト,10m走を測定した.全項目において2回行い,結果が良い方を採用した.各種目の順位と総合順位をそれぞれフェンシング順位と比較を行った結果,フェンシング順位上位3名と体力テスト上位3名は同一の選手となった.以上のことから,行動体力の改善が競技力向上及び怪我の予防に繋がるとともに,練習内容の改善に向けた指標の一つとなりうることが考えられた.