抄録
[背景]
医用テレメータは,病棟内で患者の生体情報を遠隔監視できる医療機器であり,電磁干渉(EMI)が発生
しないよう物品,チャネル配置を行い運用されている.しかし実際は,施設の増改築や運用方針変更等に
より最適な電波管理が困難な状況が多く存在し,EMI関連と思われるトラブルが発生することがある.やむ
を得ずガイドラインに沿えない運用を行う際は,適宜対応することが多く,どのような物品,チャネル配置で
あれば許容できるかは十分に調査されていない.
[目的]
病棟の医用テレメータの設置状況を再現し,電波受信強度と距離の関係と,送信機のチャネル設定を
近接させた際のEMIの影響を検証する.
[方法]
はじめに送信機ZS-640P(日本光電)をチャネル3038(429.7125 [MHz])に設定した状態で,一般病棟病
室内に設置し,病室の扉を開閉した状態で廊下にて30 [m]までX0161B SpeCat(NEC)を使用し電波受信
強度測定を行う.次にチャネルを3036(429.6875 [MHz]),3040(429.7375 [MHz])に設定した送信機を2台,
調査対象の送信機の付近に置き,同様に距離5 [m]間隔で電波受信強度と距離の関係を調べる.最後に
実際の医用テレメータBSM-3400(日本光電)を同様の距離で設置し,電波受信強度(アンテナピクト)が小
さくなる距離を調べる.
[結果]
送信機単体の電波受信強度は,病室の扉を開けた状態で,病室から30 [m]で32.4±1.00 [dB],扉を閉
めた状態では10 [m]で36.5±1.11 [dB],15 [m]で27.9±1.98 [dB]であった.次に付近に近接チャネルの送
信機を置いた場合,病室の扉を開けた状態で30 [m]で35.9±3.60 [dB],扉を閉めた状態では10 [m]で
32.0±10.6 [dB],15 [m]で24.4±10.7 [dB]であった. また医用テレメータの電波受信強度は,送信機単
体,近接チャネル設置のいずれの場合も距離15 [m]以下で安定し,20 [m]以上で不安定表示となった.
[考察]
医用テレメータの電波管理実践ガイド(電波環境協議会)では,電波受信強度30 [dB]以上での運用を推
奨しているため,一般病棟の環境では病室の扉を開けた状態で約30 [m],扉を閉めた状態では10 [m]以
内に医用テレメータを設置すると,問題なく患者監視できる可能性が示唆された.また近接チャネルの送
信機によるEMIの影響は小さいことが示唆された.