日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: L-005
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小講演
エクスポージャー療法の介入効果の向上と介入後再発の防止を目的とした古典的条件づけにおける連合学習モデルの提案
二瓶 正登澤 幸祐
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抄録

エクスポージャー療法は不安症を始めとする多くの臨床心理学的問題に高い効果を示す介入技法である。エクスポージャー療法は古典的条件づけにおける消去手続きの援用であると考えられていることから,介入効果の促進や介入後の再発を防止する手法の開発において,消去の効果を促進するdeepened extinctionや消去後の反応回復を減少させる多文脈消去といった古典的条件づけの消去手続きに関連する知見との橋渡し研究が積極的に行われている。しかしながら,そうした手続きの有効性は認められているものの,それらがなぜ効果的かを包括的に説明する基礎心理学的モデルは存在しなかった。そこで本発表では発表者が構築した文脈類似性モデルを取り上げ,従来説明が難しかった消去に関する諸現象がどのように説明可能かを示す。また,実際の消去手続きに関する個体・個人データと文脈類似性モデルの当てはまりの検討も行う。加えて,文脈類似性モデルが提案する新たな介入技法についても説明を行う。これらの議論を踏まえ,文脈類似性モデルが古典的条件づけおよびエクスポージャー療法の説明基盤として従来の体系よりも有用である可能性を考察する。

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© 2021 公益社団法人 日本心理学会
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