主催: 日本心理学会第85回大会準備委員会(明星大学)大会長 境敦史
会議名: 日本心理学会第85回大会
回次: 85
開催地: 明星大学
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/08
一般向けVRヘッドマウントディスプレイ(VR HMD)が普及し,心理学においても基礎研究から応用研究まで広く注目されている。PythonによるVR実験も可能であり,心理学研究法にも新たな展開が見られる。しかし,刺激の厳密な時間精度(安定した呈示時間と呈示遅延)を要する心理学実験において,こうしたVR環境がどこまで正確な精度を持つかは国際的に未解明である。本研究ではVR HMDとPythonによる最先端VR環境を駆使し,視聴覚刺激の時間精度を体系的に実証した。実験1で視覚,実験2で聴覚を検討し,厳密な呈示時間と遅延を検討した。実験3では視聴覚同時呈示を検討し,視聴覚間における呈示のズレを検討した。結果から,視覚では一貫して18 ms(誤差1 ms)の遅延がある一方,聴覚の遅延はHMDによって異なり38または57 ms(誤差4 ms)であった。視聴覚間のズレもHMDによって異なるが19または39 ms(誤差3 ms)と安定し,視聴覚同時呈示によって精度は低下しなかった。呈示時間は視覚と聴覚ともに正確(誤差1 ms以下)であった。本研究から視聴覚刺激の時間精度が解明され,VR実験への精度指標値を提供できた。