主催: 日本心理学会第85回大会準備委員会(明星大学)大会長 境敦史
会議名: 日本心理学会第85回大会
回次: 85
開催地: 明星大学
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/08
近年,心理学で報告されている結果が,「西洋の,教育を受けた,工業化された,豊かな,民主主義の」社会からサンプリングされた参加者に偏っていることが指摘されている。本研究では,心理学における研究領域にもこのような偏りが見られるのかを定量的に検討した。これまでに出版された視覚探索およびストループテストに関連する研究の要旨をテキストデータ,著者の所属機関の地域および出版年をメタデータとして構造トピックモデルを実施した。その結果,視覚探索やストループテストのような心理課題は,刺激や条件などの課題に関する単語から構成されるトピック,臨床研究に関する単語から構成されるトピック,神経科学に関する単語から構成されるトピックで構成されることが示された。また,ストループテストの課題に関する単語から構成されるトピックの中には北中米の地域で出現確率が高いものが見られ,臨床研究に関するトピックの出現確率はヨーロッパの地域で高いことが示された。さらに,神経科学に関するトピックの出現確率は年々上昇していることが示された。これらの結果は,心理学の研究領域においても地域差および研究のトレンドが存在することを示唆している。