主催: 日本心理学会第85回大会準備委員会(明星大学)大会長 境敦史
会議名: 日本心理学会第85回大会
回次: 85
開催地: 明星大学
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/08
防衛的悲観主義とは,「過去の似たような状況において良い成績を収めていると認知しているにも関わらず,これから迎える遂行場面に対して低い期待を持つ認知的方略」のことである(外山,2011;Norem&Canter, 1986)。防衛的悲観主義者は,適応的な楽観主義者である方略的楽観主義者と同等の優れた成績を残す(Norem&Illingworth, 1993)という点では適応的だが,精神健康については,自尊感情の低さや抑うつの高さ(e.g., 清水・中島,2018)など,方略的楽観主義者よりも劣るとの指摘もある(Canter&Norem, 1989)。本研究では,防衛的悲観主義者の精神健康に関して,これまで焦点が当てられていなかった,過敏型・誇大型自己愛傾向について調査を行った。大学生138名への質問紙調査の結果,防衛的悲観主義者は,誇大型自己愛傾向については,真の悲観主義者よりも高かったが,方略的楽観主義者と有意な差は見られなかった。過敏型自己愛傾向については,方略的楽観主義者よりも高かった。以上より,防衛的悲観主義者の自己愛傾向は,高い過敏型自己愛傾向と誇大型自己愛傾向を持つことが分かった。