主催: 日本心理学会第85回大会準備委員会(明星大学)大会長 境敦史
会議名: 日本心理学会第85回大会
回次: 85
開催地: 明星大学
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/08
本研究では,高齢者2,000名を対象にWeb調査を行い,高齢者のネット利用への不安に関する心理要因を検討した。このために,ネット利用への不安尺度(使い方への不安,ストレス・トラブルへの不安,外部からの攻撃への不安),ネット利用の効用尺度(情報獲得,気分転換,対人交流),使用する機器(携帯電話とパソコン)への満足度尺度,性別,年代を用いた。まず,ネット利用への不安尺度に性別×年代の分散分析を行った結果,使い方への不安とストレス・トラブルへの不安で性別に有意差が見られ,女性の方が高かった。そして,ネット利用への不安尺度を従属変数,ネット利用の効用尺度と使用する機器への満足度尺度の得点高群・低群を独立変数とするt検定を行った結果,使い方への不安は情報獲得尺度と使用する機器への満足度尺度の得点低群の方が高かった。ストレス・トラブルへの不安は,全ての尺度で得点高群の方が高かった。外部からの攻撃への不安は,情報獲得尺度得点と使用する機器への満足度尺度の得点高群の方が高かった。以上より,ネット利用の効用(特に情報獲得)を感じているほど,ネットへの不安が高くなる場合があることが示唆された。