日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PC-045
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3.社会・文化
一般的信頼及び関係流動性の認知が社会的ネットワークに及ぼす効果
*堀田 結孝
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抄録

人々は様々な他者と関係を結び,複雑な社会的ネットワークを形成している。社会心理学の分野において,新たな関係形成機会の多寡として定義される”関係流動性”は,対人場面における個人の行動及び心理に影響を及ぼす社会環境要因として議論されている。更に,関係流動性の議論から,他者一般に対する信頼である”一般的信頼”は,流動的な社会において関係を拡張させていく役割を担う心理メカニズムであると予測される。本研究では,この議論の妥当性を検証する目的の調査を行った。大学の学部一年生を対象に友人関係のネットワークの測定を行い,個人の一般的信頼,関係流動性の認知,及び社会的ネットワークの特徴量との相関を分析した。分析の結果,関係流動性の認知については,一般的信頼及び社会的ネットワークの特徴量と有意な関連が見られなかった。一方,親しい友人として参加者が挙げた人数と一般的信頼との間に正の相関が見られた。結果は,一般的信頼は新たな関係形成場面において社会的ネットワークの拡張を促す心理傾向である可能性を示唆している。

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