主催: 日本心理学会第85回大会準備委員会(明星大学)大会長 境敦史
会議名: 日本心理学会第85回大会
回次: 85
開催地: 明星大学
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/08
被害に対する報復が被害者の満足感を高めるのは,それによって加害者へメッセージが伝わると考えるためである。しかし代理報復であっても同様であるかは明らかになっていない。そこで本研究では国家間紛争における代理報復をどのような集団が行った場合にもコミュニケーション機能が生じるか,更には和解的態度が強まるかを検証した。20歳から22歳までの日本人男女609名が実験に参加した。参加者は日本と中国の間の紛争について代理報復要因4水準(日本/アメリカ/ロシア/アイスランド),謝罪要因2水準(謝罪あり/謝罪なし)を操作したシナリオを読み,コミュニケーション機能認知2項目,公正回復1項目,報復的態度2項目,寛容性3項目,満足2項目の質問に回答した(全て6件法)。結果は代理報復国がアメリカよりも,ロシア,ロシアよりもアイスランドが代理報復を行った場合に加害者にコミュニケーション機能が高いと認知され,それを介して和解的態度が強まった。この事から,代理報復によるコミュニケーション機能認知は国家間関係によって調整され,必ずしも和解的態度を促進するわけでは無いと考えられる。