主催: 日本心理学会第85回大会準備委員会(明星大学)大会長 境敦史
会議名: 日本心理学会第85回大会
回次: 85
開催地: 明星大学
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/08
本研究は,日本人と中国人による異文化コミュニケーションの心理メカニズムを実験的に検討した。日本人大学生と中国人留学生23組46名が相手国民に対する感情温度を測定した後,日本語で討論を行った。また自己呈示動機と討論の評価に回答を求めた。討論時の表情動画を撮影して解析ソフトで定量化し,対人距離も測定した。結果はまず,日本人の自己呈示動機は中国人より高く,日本人同士・中国人同士の討論(木村・毛,2013)と比べても突出していた。交流機会の少ない相手ゆえ,高く動機づけられた可能性がある。次に,日本人同士・中国人同士の討論では日本人の方が中国人より笑顔が多く,対人距離は大きかったが,本討論では笑顔・対人距離とも日中間に違いがみられなかった。これは中国人留学生が日本文化に適応したためと考えられる。実際,日本滞在が長い中国人ほど対人距離が大きかった。さらに,中国人に対する感情温度が高いほど,日本人は討論を肯定的に評価し,笑顔を構成する眼輪筋の動きが促進,口角の動きが抑制されていた。日本人に対する感情温度と,中国人の討論評価や表情には関連がみられず,感情温度が及ぼす影響は日中の非対称性が示唆された。