主催: 日本心理学会第85回大会準備委員会(明星大学)大会長 境敦史
会議名: 日本心理学会第85回大会
回次: 85
開催地: 明星大学
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/08
「人生は時間が経つにつれて良くなる」という信念は,北米圏で強いことが知られている。しかし,その主観的な変化は幻想的なのか(客観的な変化を反映したものではないのか),どのような要因が文化差と関連するのかが不明であった。また,先行研究では,人生のコントロール感と人生満足感の関連に文化差があることが指摘されていた。そこで,本研究では,アメリカ人は日本人よりも,人生満足感の幻想的上昇が高く,その文化差はコントロールの感覚によって説明できるという仮説を立て,3つの研究を行った。研究1 aではMIDUSとMIDJAのデータを利用し,研究1bではパンデミック下(2020年10月)で調査を行った。研究2では1年間の縦断調査を行った。分析の結果,仮説通りアメリカ人は日本人と比べて,過去から現在にかけて人生が好転したと報告しやすく,その文化差は人生満足感の客観的変化の影響を統制しても維持された。媒介分析の結果,アメリカ人ほど人生を自らコントロールできるという感覚が強いために,幻想的上昇が顕在化しやすいことが示された。また,パンデミック下で人生満足感が低下している時期であっても,同様の媒介効果が確認された。