主催: 日本心理学会第85回大会準備委員会(明星大学)大会長 境敦史
会議名: 日本心理学会第85回大会
回次: 85
開催地: 明星大学
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/08
TEA(複線径路等至性アプローチ)を用い,キャリアの転機における時間的展望の役割について分析を行った。TEAは文化心理学(Valsiner, 2007)を土台とする質的研究の一手法であり,対象選定理論としてのHSI(歴史的構造化ご招待),径路を描き出す手法であるTEM(複線径路等至性モデリング),変容・発生を捉える理論であるTLMG(発生の三層モデル)の鼎立による統合的アプローチである(サトウ,2015;安田,2015)。日本心理学会第84回大会において,宮下は,多様な径路の収束点である等至点(EFP)として,「プロとしてキャリア転換する」という事象を設定し,当該事象を経験した方を8名の方のヒアリングデータを分析した統合型TEM図を発表した。今回は8名のうち,インタビュー後にもう一度キャリアの転機の経験した1名の方を対象に追加調査を行い,個人型TEM図を作成した。キャリアの転機に関わる語りを分析したところ,本人の将来に対する時間的展望が,分岐点(BFP)を生み出し,等至点(EFP)へと促進する記号として作用して,キャリア転換という本人の選択に影響を与えていることが示唆された。