日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PD-025
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4.臨床・障害
医療・福祉・教育の困難と22q11.2欠失症候群をもつ子の養育者の心の健康
*森島 遼熊倉 陽介宇佐美 慧金原 明子田中 美歩大河内 範子中島 直美濱田 純子小川 知子安藤 俊太郎田宗 秀隆中原 睦美神出 誠一郎金生 由紀子田中 恭子平田 陽一郎岡 明笠井 清登
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抄録

22q11.2欠失症候群(22q11DS)の子を持つ親は,症候群に関連する複数の併存症(多疾病罹患)のケアだけでなく,支援者の理解不足や支援制度不足により困難を抱えている可能性がある。本研究では医療・福祉・教育の困難と親の心の健康の関連を調べた。22q11DSを持つ子の親を対象に横断調査を行った。125名の親(母親91.2 %,平均44歳)から,医療・福祉・教育の困難,精神的不健康(Kessler 6),子の併存疾患数等の回答を得た。重回帰分析の結果,子の併存疾患数を調整後,複数の医療機関への受診の困難(β=0.181, p<0.05),福祉スタッフの理解不足や支援制度の不足(β=0.220-0.316, all p<0.05)が,親の精神的不健康と関連していた。子が教育機関に通っている年齢に限定した群(N=84)では,教室での不適切な対応や,教育サービスと利用者ニーズのミスマッチが,精神的不健康と関連していた(β=0.222-0.296, all p<0.05)。22q11DSの多疾病罹患だけでなく,医療・福祉・教育の困難が親の心の健康に影響を与えることが示唆された。

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© 2021 公益社団法人 日本心理学会
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