日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PI-034
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9.認知
上脳・下脳システムと自我状態の関係
*柴原 直樹遠藤 正雄井澤 嘉之直嶋 美恵子永浦 拡久 智行
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抄録

Kosslynらは,上脳システムは計画の立案や遂行に,下脳システムは情報の分析と理解に関わっており,両者の活用度に応じて4つの認知モードを提案している。本研究の目的は,上脳・下脳システムとTEG-Ⅱで測定される5つの自我状態との関係を調べることである。自我状態の中で,CPが高いと理想を掲げ計画を立案し,責任をもって実行する傾向が高くなり,Aが高いと事実に基づき情報を分析し,物事を客観的・論理的に理解する傾向が高くなることから,上脳システムとCP,下脳システムとAとの関係が推測される。授業中に同意を得た上で,100名(男性35名,女性65名)の学生にKosslynらの作成した背側・腹側質問紙およびTEG-Ⅱを配布し回答を求めた。相関分析の結果,上脳システムとCP(r=.237, p<.05)およびA(r=.403, p<.01)との間に有意な相関が見られた。また,下脳システムとAとは有意な相関関係にある(r=.290, p<.01)ことも分かった。上脳システムとAとの相関関係は,Aの特徴でもある合理的に判断し行動することが上脳システムと関わっているために生じたと思われる。

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