主催: 日本心理学会第85回大会準備委員会(明星大学)大会長 境敦史
会議名: 日本心理学会第85回大会
回次: 85
開催地: 明星大学
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/08
かつては口承で語り継がれた怪談が,Web上のテキストで楽しまれるようになって久しい。そこで描かれる恐怖がどのようなものであるか知ることは,現代日本人の心性や文化的特性を考える上で不可欠だろう。本研究の目的は,現代のネット怪談がもつ意味的構造を解明することである。筆者および協力者の計5名が,収集した怪談のテキスト全文を読み込み,作品ごとに「怖さ」および「面白さ」を7件法で評価した。続いて,作中に登場する恐怖の喚起に関係されると思われる物語要素(登場するアイテムや怪異の種類,視点,物語展開など)について協議し,79項目の意味要素の抽出を行った。各作品におけるこれら要素の存否状況をダミー変数として,数量化理論Ⅲ類による分析を実施した。また,意味要素の存否状況を説明変数,「怖さ」および「面白さ」の評定値を目的変数として,数量化理論Ⅰ類における分析を実施した。現代のインターネット怪談は,意味の明示性や恐怖の喚起手法という観点から分類が可能であり,それらの要因が恐怖感情や作品としての面白さに関係していることが示唆された。