日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PL-001
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12.言語・思考
登場人物の創作に及ぼす登場人物と書き手の類似性の影響
*西口 美穂楠見 孝
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抄録

登場人物は,物語において重要な要素である。これまで物語産出過程には,書き手が物語内の登場人物と視点を共有するという側面があることが示唆されてきた(Doyle, 1998;Brown et al., 2019)。しかし,登場人物に関する情報が,書き手が創作を行う時の認知過程にどのような影響を与えるかについては,まだ不明な点が多い。本研究では,登場人物の創作に焦点を当て,書き手と登場人物の関係性がその過程に影響を与えるかを検討した。特に,読者と登場人物の性格の類似性が文の理解過程に影響を与えるという先行研究(Komeda et al., 2009)に基づき,外向性の類似度を操作した。具体的には,外向性/内向性の高い参加者計319名に対し,登場人物が外向的/内向的であることを教示した上でその人物の趣味・嗜好を創作させ,その主観的困難度を評定させた。その結果,参加者と登場人物の外向性が類似している場合,参加者は登場人物を作ることがより簡単だと評定した。また,この傾向は特に内向的な書き手において顕著だった。このことから,登場人物の創作過程には書き手と登場人物の関係性が重要な役割を果たしていることが示唆された。

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