日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PM-028
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13.情動・動機づけ
思いやりの表出と抑制思いやるからこそ躊躇する
*本多 麻子
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抄録

思いやりの3要素は①他者の気持ちを察し,考えること,②共感,同情すること,③向社会的行動の動機づけとなることである(内田・北山,2001)。思いやりがあるのにあえて思いやり行動をしないという思いやりもある(満野・三浦,2010)。思いやりの心理的側面と行動的側面を同時に検討した先行研究はないため,本研究では思いやりの表出と抑制の心理的側面と行動的側面を検討した。大学生213名を対象として思いやり,共感的感情反応,向社会的行動,社会的スキルを質問紙によって評価した。その結果,思いやり得点は共感的感情尺度の各得点と正の相関があった。向社会的行動得点は社会的スキル,ネガティブ感情の共有,同情の各得点と正の相関があった。社会的スキル得点は,ポジティブ感情への好感・共有得点と正の相関があった。思いやり低群と比較して,思いやり高群のポジティブ感情への好感・共有,ネガティブ感情への共有,同情の各得点は高かった。向社会的行動得点と社会的スキル得点に群差はなかった。思いやり高群と低群では共感,察しという思いやりの心理的側面に違いがあったものの,思いやりの行動的側面には違いがなかった。

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