主催: 日本心理学会第85回大会準備委員会(明星大学)大会長 境敦史
会議名: 日本心理学会第85回大会
回次: 85
開催地: 明星大学
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/08
本研究では,嗜好品の摂取とレジリエンスおよび心理的ウェルビーイングとの関連について,摂取場面(他者との摂取,一人での摂取)と嗜好品の種類(酒,たばこ,コーヒー,茶)に注目して検討した。調査会社を通して四大嗜好品各群705名を対象にウェブ質問紙調査を実施した。場面ごとの分析の結果,他者との摂取はコミュニケーションを促進し,レジリエンスの一側面である環境資源の認知や活用を高め,心理的ウェルビーイングの因子である自律性や環境制御力,積極的な他者関係を高めることが示された(GFI=.931, RMSEA=.071)。また一人での摂取場面では,感情と認知のコントロールのための摂取がセルフ・エンパワメントやポジティブ気分の獲得,集中力の向上を促し,個人資源の認知や活用を高め,自律性を高めることが示された(GFI=.910, RMSEA=.069)。四大嗜好品群間の比較を行った結果,他者との摂取場面では,他者との摂取行動とコミュニケーション促進との関連が酒よりコーヒーや茶の方が強く,一人での摂取場面では,摂取によるポジティブな効果とレジリエンスとの関連が酒やコーヒーより茶の方が強いことが示された。