日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PO-007
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15.発達
幼児期の親密な仲間間で語られる感情語の対人機能「おもしろい」・「楽しい」への言及に着目して
*岩田 美保
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抄録

本研究では,親密な関係性やその維持に重要とされる興味(interest)および喜び(joy)に関わる感情語として「おもしろい」,「楽しい」に着目し,幼稚園期3年間の親密な仲間関係にみられるそれらの感情言及の機能について,その関係構築に果たす対人的役割に着目し,2コホートの縦断的検討を行った。総じて,仲間遊びでの幼児の「おもしろい」,「楽しい」の言及の機能は,1期(3歳12~3月)では興味や関心の共有を目の前の仲間に求める機能,2期(4歳4~7月)ではそれを第三者に求める機能,3期(4歳10~3月)には,自他のそれらの一致度に応じた不満や満足度をメタ的に捉える機能,4期(5歳4~6月)には,過去経験の共有に関わる機能や,5期(5歳11~3月)にはそうした過去経験の共有に加え,未来や期待の実現化に関わる機能がみられた。これらは,いずれも,仲間遊びの維持や発展に寄与するものといえ,幼児期における親密な仲間間の感情言及がもつ対人的機能の一端を示すものとして重要と考えられた。また,その発達には時間的視点や感情的側面からの心の理解の発達が反映している可能性が推察された。

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