主催: 日本心理学会第85回大会準備委員会(明星大学)大会長 境敦史
会議名: 日本心理学会第85回大会
回次: 85
開催地: 明星大学
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/08
幼児期の自閉スペクトラム症(ASD)児と保護者の間のコミュニケーション支援の検証を進めている。著者らのこれまでの研究から,保護者が子どもとの自由遊びの中で「話す」「見る」「触れる」行為を増やすことによって,ASD児の快情動がより多く観察されるようになることが示されたが(松島ら,2021),この快情動の表出が対人指向的であるか否かは不明であった。そこで本研究では,快情動の表出と顔を母の方に向ける行為の共起関係を分析することにより,これを検討した。言語発達の水準が異なる6歳前後のASD男児と母の2事例を分析した。母は,養育場面に合わせて改定されたユマニチュード講習を受けた。それに先立つ母子間自由遊びと,講習後の自由遊びを撮影した。母と子のそれぞれの働きかけと反応(2つを合わせて,関わりと呼ぶ)について,情動を含めマルチモーダル分析した。結果は,事例間で程度の違いはあるものの,介入前より介入後において,子は快情動を示すときに顔を母に向けていることが多いことが示された(事例1, 50.0 %→65.0 %;事例2, 0.0 %→44.4 %)。現在,対象者数をさらに増やして検証を進めている。