日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PO-082
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15.発達
自閉スペクトラム症児の母子相互作用のマルチモーダル分析快情動の表出と顔向けの共起関係
*長岡 千賀松島 佳苗アン ミ-伊藤 凌太朗加藤 寿宏吉川 左紀子中澤 篤志本田 美和子ジネスト イヴ安藤 夏子岩元 美由紀
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抄録

幼児期の自閉スペクトラム症(ASD)児と保護者の間のコミュニケーション支援の検証を進めている。著者らのこれまでの研究から,保護者が子どもとの自由遊びの中で「話す」「見る」「触れる」行為を増やすことによって,ASD児の快情動がより多く観察されるようになることが示されたが(松島ら,2021),この快情動の表出が対人指向的であるか否かは不明であった。そこで本研究では,快情動の表出と顔を母の方に向ける行為の共起関係を分析することにより,これを検討した。言語発達の水準が異なる6歳前後のASD男児と母の2事例を分析した。母は,養育場面に合わせて改定されたユマニチュード講習を受けた。それに先立つ母子間自由遊びと,講習後の自由遊びを撮影した。母と子のそれぞれの働きかけと反応(2つを合わせて,関わりと呼ぶ)について,情動を含めマルチモーダル分析した。結果は,事例間で程度の違いはあるものの,介入前より介入後において,子は快情動を示すときに顔を母に向けていることが多いことが示された(事例1, 50.0 %→65.0 %;事例2, 0.0 %→44.4 %)。現在,対象者数をさらに増やして検証を進めている。

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