主催: 日本心理学会第85回大会準備委員会(明星大学)大会長 境敦史
会議名: 日本心理学会第85回大会
回次: 85
開催地: 明星大学
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/08
総合的な探究の時間では,各教科の見方・考え方を総合的・統合的に働かせることに加えて,自己のキャリア形成の方向性と関連付けて,自ら問いを見出し探究する力を育成することを目指している(文部科学省,2018)。本研究では,探究的な学びとキャリア教育を独立した教科としてではなくカリキュラムのコアとして位置づけるA高校での生徒の変容を検討した。高校1年生の目標に照らして学習レディネス,積極的態度,消極的態度,学びとキャリアの接続の4観点で構成される評価指標を作成し調査を行った。1年生の学年末における1か月間の学びのふりかえりを行った前後(T1とT2)での短期的効果と,卒業時(T3)までの長期的な効果の2つの効果に着目して,3時点すべてに回答した156名を対象に分析を行った。その結果,学習レディネスと積極的態度はT1からT3にかけて有意に上昇し,受動的態度はT1からT3にかけて有意に低下した。学びとキャリアの接続はT1からT2にかけて有意に上昇するも,T3では再びT1と変わらない水準まで低下した。今後は探究学習の成果物も合わせて分析することで生徒の成長感と客観的な成長の関連を検討する必要がある。