日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PQ-020
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17.産業・交通
攻撃的運転傾向の心理的規定要因交通違反により行政処分を受けた運転者の特徴
*岡村 和子藤田 悟郎小菅 律中野 友香子上野 彩華菅野 裕土屋 裕美子
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抄録

いわゆる「あおり運転」に対して妨害運転罪が新設され,厳しい処罰を課すことが可能となった。「あおり運転」は,多くの国で社会問題となっており,学術的には攻撃的運転などと称される。攻撃的運転を防止するための介入策定の資料とするため,様々な交通違反で行政処分を受けた運転者(被処分者)361人と通常の運転免許更新時講習を受けた運転者327人(更新者)に質問紙調査を行い,攻撃的運転に影響する心理要因を分析した。①基礎属性(性別,年齢,運転状況など),②性格特性(主要5因子,ダークトライアド,攻撃性,うつ傾向),③運転中の攻撃性表現・運転技能の自己評価の順に,攻撃的運転の頻度を説明する階層的重回帰モデルに加えた。その結果,被処分者は,更新者より攻撃的運転傾向が強く,攻撃的運転に最も強く影響していたのは,被処分者・更新者とも,運転中の攻撃的な考え(他者への報復欲求など),自身の運転技能過信と安全軽視であった。被処分者は,自身の技能過信と安全軽視の傾向がとりわけ顕著であった。攻撃的運転につながり得る怒りなどの感情の背景にある,自身の運転や攻撃的運転に対する認知に注目した介入が有効と考えられた。

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