日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: SS-011
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公募シンポジウム
援助要請研究のこれまでとこれから学業的援助要請と心理的援助要請のクロスオーバー
橋本 剛永井 智岡田 涼中谷 素之水野 治久
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抄録

学業的援助要請と心理的援助要請は,援助要請研究の二大潮流として,それぞれ独自の発展を遂げてきた。教育心理学などを基盤とする学業的援助要請は,学習方略としての有効性などの観点を中心として論じられてきた。一方,心理的援助要請は臨床心理学などを基盤として,援助要請の促進・普及こそ援助要請研究のミッションという論調に基づいて展開されてきた。それらの価値観を各領域で暗黙の前提とすることは,同じ目標を共有する領域内での議論活性化には効果的であろう。しかし,それはときに,所与の価値観への懐疑を困難にし,そこにある潜在的副作用や,常識に囚われない新たな観点などの看過にも繋がりかねない。このことは,多様な価値観の相克による混迷に陥りがちなコロナ禍における援助要請の諸相からも垣間見られよう。そこで本企画では,学業的援助要請と心理的援助要請それぞれの最先端のレビューに基づいて,各領域の援助要請研究における共通点と相違点,それらの背景にある各領域の暗黙の価値観,その副作用や限界についての議論を通じて,各領域が有する暗黙の前提に囚われない,新たな援助要請研究の展開可能性について模索する。

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© 2021 公益社団法人 日本心理学会
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