抄録
1. はじめに
事件が起こったのは1987年12月24日午後、コロンビア・ブラジル国境を東西に流れるティキエ川のブラジル側、カチベラLでのことである。Lはコロンビア側のトゥユカ集落Aと、その50Kmほど下流のブラジル側集落Xとの間の中間点より上流に位置しており、Lの上流と下流にそれぞれトゥユカ集落BとCがある。事件は集落を二分する銃撃戦が勃発しかねない衝撃をもたらした。この事件の殺意の形成に関わるコスモロジカルな側面については以前に論じているが[武井 1995]、今回は事件の全体像からさらなる考察を加えてみたい。
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